プロジェクト

『世界環境年表』(WEC)プロジェクトについて

本プロジェクトは、A World Environmental Chronology(『世界環境年表』、WEC) を2014年7月に出版することを目的としています。本書は、全世界の環境問題に関する情報を年表という形式で網羅したもので、その基礎は2010年11月にすいれん舎より刊行された『環境総合年表:日本と世界』です。これを英訳するとともに、さらに拡充することによって、英語版のA World Environmental Chronologyの編集を行っています。本年表の編集態勢は、日本、韓国、中国、台湾の環境社会学研究者8名からなる「国際編集委員会」のもと、サステイナビリティ研究所に事務局を設置し、さらに、国内外に広範な協力者をつのって取り組まれています。これまでに、124カ国あるいは地域に関する協力者が得られ、各国の環境問題、環境政策、環境法制、環境運動などの情報が収集されつつあります。英語での刊行を企画したのは、本書の情報価値に鑑み、全世界で本書が利用されるべきであると考えたからです。このような企画は、日本はもとより諸外国にも先例がなく、本書は史料的にも学術的にも高い価値を有する文献となるでしょう。
本書は4部構成で、第1部に日本・中国・韓国・台湾の詳細年表および論文、第2部に全世界の重要事項統合年表、第3部に世界124カ国・地域の個別年表、第4部に、世界的な環境問題に関する8点のトピックの年表を収めています。
本書の特徴は3点あります。第一に、東アジア4カ国・地域を本年表における重点地域として位置づけ、これらの地域にとくに力点をおいた詳細な記述をしています。第二に、すべての項目の出典が明記されています。第三に、先述のとおり、世界各国・地域を包括した英語の環境年表として世界で初めての試みであることです。2014年7月に横浜で開催される世界社会学会の機会に本書を各国の社会学者に紹介できるよう、編集作業を進めていきます。

『原子力総合年表』について

東日本大震災後の2011年6月、福島原発震災を生み出した社会過程と震災後の社会過程についての情報の共有化が緊急の課題との認識の下、環境社会学会有志が呼びかけ人となり、法政大学サステイナビリティ研究教育機構(当時)が事務局を担当する形で、原子力政策をめぐる『総合年表』作成と資料の収集を、約40人の方々の参加・協力のもとに開始しました。
『原子力総合年表』は2部構成としており、第Ⅰ部は、福島原発事故の過程と、諸主体の認識・行為についての情報を詳細に収集しています。このデータを検討することにより、制度的・組織的欠陥、意思決定の欠陥を批判的に解明することが可能になるでしょう。第Ⅱ部は、日本国内に関しては既存の原子力発電所のサイトの全てについて、また計画中・計画中止の諸サイト・地域について、ウラン採掘から再処理、廃棄物の貯蔵・廃棄に至る燃料サイクルにかかわる諸施設、政府政策や電機業界施策、マスコミや原発訴訟などについて、個別年表作成しています。また、海外諸国については16の国・地域の核・原発開発、反核運動の取り組み、スリーマイル・チェルノブイリやその他累々たる事故の歴史など、さまざまなトピックに即した個別年表を作成しています。
2013年3月のサステイナビリティ研究教育機構は閉鎖されましたが、同7月のサステイナビリティ研究所の開設に伴い、本『年表』プロジェクトの事務局は、法政大学サステイナビリティ研究所に継承されました。
20世紀初頭から2011年3月に至る長期間に及ぶ原子力問題の歴史過程を詳細にたどりうるような情報の集積により、原子力政策をめぐる公論形成、研究深化の情報的基盤となり得るような資料を2013年度中に公刊することを目指しています。