研究テーマ

研究分野

環境社会学、地域社会学、社会計画論、市民運動論、行政法、環境法、社会哲学、倫理学、メディア論、アーカイブズ学、に依拠しながら、「エネルギー戦略シフトと地域再生」という主題に対して、以下のようにアプローチします。

アプローチ①:
環境アーカイブズの形成と『原子力総合年表』の編集を基盤にしたエネルギー政策の問題点の解明
アプローチ②:
脱原発に伴い困難化が想定される放射性廃棄物問題、原発立地地域の経済・財政・雇用問題の解決策の探究
アプローチ③:
諸外国のエネルギー政策転換の動向把握と政策論理の分析
アプローチ④:
自然エネルギーの事業化を推進する「統合事業化モデル」の構築と実装化支援
アプローチ⑤:
震災被災地や人口減少地域や途上国における自然エネルギー導入による地域振興

研究内容

エネルギー戦略シフトとは、省エネルギー、原子力依存度の低減、化石燃料の長期的削減、自然エネルギーの積極的増大を四つの柱として、これらを適切に組み合わせることによって、エネルギー問題、環境問題、地域振興問題に対処しつつ、サステイナブルな社会を形成していくための大局的な政策の方向付けです。日本社会が、東日本大震災の被害・打撃を克服し、エネルギーの自立的確保を基盤に、地域経済と国民経済を再強化し、21世紀に新しい発展の展望を得るためには、この方向での社会変革の推進が不可欠です。その具体化のためには、さまざまな政策的課題群があり、それに効果的に取り組むことに貢献すべく、以下の五つのアプローチを組み合わせながら、学際的な探究にとりくみます。

アプローチ①:原子力と自然エネルギーを焦点にした原資料の体系的集積により、法政大学における環境アーカイブズの形成強化に寄与するとともに、日本及び世界主要国の原子力問題・原子力政策・環境問題の歴史的経過を詳細な総合年表によって把握し、これまでのエネルギー政策の政策決定過程、制度のあり方の問題点を解明し、改革の方向を探ります。

アプローチ②:原子力政策と地域問題にまたがる難問としての放射性廃棄物問題について、日本及び主要国の歴史的経過の把握の上で、社会的合意形成に基づく解決の方策を、倫理的政策分析、環境社会学、行政法の視点から探究します。また原子力依存度の低減に伴う原発立地地域の経済・財政・雇用問題の解決策を、日英の旧産炭地支援政策の検討をふまえて探究します。

アプローチ③:原油価格の高騰、福島原発震災、温暖化問題の重大化という近年の動向のもと、世界各国が模索しているエネルギー政策の転換方向を、その政策論理と制度改革に即して把握し、日本での適正な制度・政策構築の一助とします。

アプローチ④:自然エネルギーは枯渇せず、各地域に遍在し、環境負荷が低いという原理的優越性を有します。それを効果的に推進するため、事業システム内外の諸要因を網羅する「統合事業化モデル」を構築し、各地での実装化を支援します。

アプローチ⑤:福島・岩手などの震災被災地や北海道などの人口減少地域やインドなどの途上国を主要なフィールドとしつつ、「地域に根ざした自然エネルギー事業」を鍵とし、波及効果と主体形成を自覚的に追求することによって地域再生の道を探ります。

期待される成果

全体:研究成果の公表基盤として、学術誌『サステイナビリティ研究』を刊行します(毎年1回を予定)。

アプローチ①:法政大学の環境アーカイブズのさらなる充実に貢献するとともに、75点の詳細年表からなる『原子力総合年表』及び、110カ国の国別環境問題年表からなる英文のA World Environmental Chronologyの公刊を行います。

アプローチ②:放射性廃棄物問題、また、原発依存地域における経済・財政・雇用問題について調査し、諸外国や旧産炭地域の経験もふまえて、今後の対処に必要な規範的原則と政策形成についての研究論文または著作を公表します。

アプローチ③:エネルギー政策の転換という点で、先進的な取り組みをしている、注目すべき諸国の政策と制度と市民運動の実情と、それを支える政策論理と制度の内容を解明し、その成果を研究書として公刊します。

アプローチ④:自然エネルギー普及のための「統合事業化モデル」の形成と内容の洗練を行い、自治体や住民団体が「地域に根ざした自然エネルギー事業」を実現するのに役立つガイドブックの公刊と、情報提供による直接的支援を行います。

アプローチ⑤:自然エネルギーを利用し、かつより広範な領域にわたる地域振興の成功事例の教訓を整理し、研究論文・著作として公表します。